森の生態研究所のURLは、2021年1月21日より下記のように変わりました。
https://morinoseitai.com
(11月30日更新)
高尾山の11月は、曇りや雨の日に比べ晴れた日がやや多
かったですが、晴れた日がまとまって見られたのは下旬でした
。また一月の雨量としては例年とほぼ同じ程度の80mm(八
王子市)ほどでした。気温は全般的に高めで、変動はありまし
たが少しずつ下がってきました。このような気象条件のもと植
物では草花は少なくなりましたが、色鮮やかな樹の実が目立
ってきました。また鳥類については採餌行動が見られ、冬鳥
などが確認されました。哺乳類ではフィールドサインなどが確
認されました。昆虫類ではアブ・ハエ、ハチ、チョウなどがわず
かに見られました。
植物では、サラシナショウマ、ツリフネソウ、ヤクシソウ、トネ
アザミ、リュウノウギク、リンドウ、ゲンノショウコなどの草花な
どが見られました。またイイギリ、ゴンズイ、コバノガマズミ、ガ
マズミ、ミヤマシキミ、ムラサキシキブなど色鮮やかな実をつけ
た樹木などが見られました。
鳥類ではヤマガラなどの採餌行動が見られ、ルリビタキ、ミ
ソサザイなど冬鳥などが確認されました。
哺乳類では、リスの食い痕やイノシシの堀跡などが確認され
ました。
昆虫類では、オオハナアブ、クロヒラタアブ、ホソヒラタアブ、
ツマグロキンバエ、キンケハラナガツチバチ、アサギマダラな
どが確認されました。
d
・鳥類(主なもの)
留鳥 | ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラ、アオゲラ、ウグイス、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシボソガラス、トビなど |
冬鳥 | ミソサザイ、ルリビタキなど |
漂鳥? | モズなど |
分布を広げている鳥? | リュウキュウサンショウクイなど |
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 | ガビチョウ、ソウシチョウなど |
11月は、コナラ、ウラジロガシ、シラカシなどのどんぐりやカヤの
実などやや大形の木の実が実り、樹上や地面などにそれらが見ら
れましたが、これらをねらってヤマガラなどのカラ類などの採餌活
動が活発になってきました。また樹上ではメジロやエナガなどが葉
や枝などをなめるように餌を探していました。
上旬にはヤマガラが林内の地面付近で餌を探したり、どんぐり?
をつつく甲高い音などが林内から聞こえていました。
中旬には、尾根などの木漏れ日のある明るい林などではシジュ
ウカラ、ヤマガラ、リュウキュウサンショウクイ、コゲラなどが集まり、
餌探しをしているのが見られました。
下旬には、谷筋では流れの近くでミソサザイのさえずりなどが時
折聞かれ、中腹などのやや遠くからルリビタキのさえずりなどが時
折聞かれました。
・哺乳類(主なもの)
姿、フィールドサインなど | リス(食べ痕)、イノシシ(堀跡)、シカ(声)など |
リスが立ち枯れ木に発生したキノコをほとんど食べていたのが
確認されました。先月下旬に高尾山頂近辺でリスがキノコを食べ
ていたことをお知らせしましたが、今月上旬にはこの付近にあっ
たキノコはほとんど食べられて無くなっているのが確認されました
。リスにとっては大変気に入ったキノコだったのでしょうか。
中旬には、イノシシの堀跡が稜線付近で見られました。遊歩道
わきの林内に地面の掘り返された痕が広がっていました。付近
にはコナラの高木が何本もあり、そのどんぐりなどをねらって来
たかもしれません。
下旬には、シカの声が前の沢付近(高尾山の東側に延びる広い
区域)で聞かれました。日没後暗くなってから動植物園の南西側を
通る遊歩道を東に向かって歩いていると、南方(薬王院の東方の
山中)からシカの声がはっきりと聞かれました。シカが高尾山頂か
ら清滝駅までの広い区域を歩き回っていることが推察されました。
10年前はこの付近ではシカがいなかったと思われますが、シカは
奥多摩の方から東進しているのでしょうか。
・昆虫類(主なもの)
花にいたもの | オオハナアブ(成虫)、クロヒラタアブ(成虫)、ホソヒラタアブ(成虫)、ツマグロキンバエ(成虫)、キンケハラナガツチバチ(成虫)、アサギマダラ(成虫)など |
枝葉にいたもの | ナカジロネグロエダシャク(成虫)など |
11月は、開花している草木の花は大分少なくなりましたが、先月
に続き高温傾向が続き、草木の開花時期が伸びているせいか、訪
花性のアブ・ハエ、ハチ、チョウなどがわずかながら見られました。
オオハナアブが、キヅタの花などで見られました。
クロヒラタアブが、トネアザミの花などで見られました。
ホソヒラタアブが、トネアザミの花などで見られました。
ツマグロキンバエが、トネアザミの花などで見られました。
キンケハラナガツチバチが、トネアザミの花などで見られました。
アサギマダラが、トネアザミの花などで見られました。
・植物(主なもの)
草 | 花 | サラシナショウマ(白色)、イヌショウマ(白色)、シラネセンキュウ(白色)、リュウノウギク(白色)、キッコウハグマ(白色)、コウヤボウキ(白色)、シロヨメナ(白色)、ゲンノショウコ(白色)、ハナタデ(紅色から淡紅色)、ミゾソバ(紅紫色、白色)、ヤマホトトギス(白色、赤紫色の斑点)、ウスゲタマブキ(淡黄色)、アキノキリンソウ(黄色)、ヤクシソウ(黄色)、ヤブマメ(紫色、白色)、ツリフネソウ(紅紫色)、トネアザミ(紅紫色)、ノハラアザミ(紅紫色)、アズマヤマアザミ(紅紫色)、ノコンギク(淡青紫色)、セキヤノアキチョウジ(青紫色)、ヤマハッカ(青紫色)、ノダケ(暗紫色)、リンドウ(青紫色)など |
樹木 | 花 | 〔小高木〕ヒイラギ(白色)など 〔低木〕ナワシログミ(淡黄褐色)など |
実 | 〔高木〕オオモクゲンジ(淡褐色)、カラスザンショウ(赤褐色)、イイギリ(赤色)、ウラジロノキ(赤色)など 〔小高木〕マユミの実(淡紅色)、クサギ(赤色(がく)、藍色(果皮))、ゴンズイ(赤色(果皮)、黒色(種子))、イヌザンショウ(赤褐色(種子は黒色))、イヌガヤ(紅紫色)など 〔低木〕 ミヤマフユイチゴ(赤色)、ヤブコウジ(赤色)、コバノガマズミ(赤色)、ガマズミ(赤色)、ミヤマシキミ(赤色)、ムラサキシキブ(紫色)、ヤブムラサキ(紫色)など 〔つる〕 ツルウメモドキ(黄色)、ツルマサキ(淡紅色)、テイカカズラ(赤褐色)、スイカズラ(黒色)など |
|
紅葉 | 〔高木〕イヌブナ(黄色、赤褐色)、ヤマザクラ(赤色)、イロハモミジ(赤色)、オオモミジ(赤色)など 〔小高木〕シラキ(黄色、赤色)、ヤマボウシ(赤褐色)など |
11月は、草花は少なくなってきましたが、10月に続き高温傾向が続い
ているせいか、花期の長いもの、花期の遅れたものなどが見られました。
また色鮮やかな樹の実が目立ち、紅葉が進んできました。11月下旬時
点で見られた草木の花、色鮮やかな樹の実、紅葉などについては下記
の通りです。
草花では、谷ではサラシナショウマが白い花を咲かせ、ツリフネソウが
紅紫色の花をまだ咲かせていました。また中腹から尾根にかけては、リ
ュウノウギクが白い花を咲かせ、トネアザミが赤紫の花を咲かせ、リンド
ウが青紫の花を咲かせていました。
樹の花では、麓などでヒイラギが白い花を咲かせていました。
色鮮やかな樹の実については、高木ではイイギリが赤い実をつけ、小
高木ではマユミが淡い赤色の実をつけ、ゴンズイが赤い果皮に黒い種
子をのぞかせていました。また低木ではコバノガマズミ、ガマズミ、ミヤ
マシキミなどが赤色の実をつけ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキなどが
紫色の実をつけていました。つるではツルマサキなどが淡い赤色の実
をつけていました。
紅葉については、高木ではイヌブナが黄色から赤褐色の葉をつけ、ヤ
マザクラ、イロハモミジなどが赤色の葉をつけ、オオモミジなどが赤色の
葉をつけ始めました。また小高木についてはシラキが黄色から赤色の葉
をつけ、ヤマボウシなどが赤褐色の葉をつけていました。