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5.高尾山季節情報(12月31日更新)

 高尾山の12月は、曇りや雨の日がほとんど無く晴れた日の
連続した一月でした。12月一月の雨量は例年少ないですが、
今年は0.0mm(八王子市)でした。気温は上旬は例年に比べや
や高めでしたが、以後は12月らしく低下してきました。このよ
うな気象条件のもと植物では色鮮やかな樹の実がまだ見られ
ました。また鳥類については、留鳥などが冬に備え行動などに
変化が見られ、冬鳥などが増えてきました。哺乳類については
フィールドサインなどが確認されました。
 植物では、オオモクゲンジ、イイギリ、ゴンズイ、コバノガマズ
ミ、ガマズミ、ミヤマシキミ、ヤブコウジ、ムラサキシキブ、ヤブ
ムラサキ、ツルウメモドキ、テイカカズラなど色鮮やかな実や
種子をつけた樹木などが見られました。
 鳥類ではエナガ、リュウキュウサンショウクイなどに行動の変
化が見られ、ルリビタキ、ミソサザイなどにくわえシロハラ、クロ
ジなど冬鳥などが確認されました。
 哺乳類では、テンの糞、ムササビの食い痕などが確認され
ました。

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 ・鳥類(主なもの)

留鳥 ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラ、アカゲラ、ウグイス、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシボソガラス、トビなど
冬鳥   ミソサザイ、ルリビタキ、シロハラ、クロジなど
分布を広げている鳥?  リュウキュウサンショウクイ、イソヒヨドリなど
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 ガビチョウ、ソウシチョウなど

 12月は、中旬以降本来の寒さが戻り、コナラやウラジロガシなど
のどんぐりの実なりが少なく、モミの球果(種子)がほとんど無く、コ
ナラ、クヌギなどブナ科樹木の生きた大木が少なくなっていることな
どから、小鳥たちにとっては厳しい時期だったかもしれません。
 エナガが、上旬には小さな群れをつくりあちらこちらで見られまし
たが、それ以降寒さが進むにつれてか10羽位のやや大きな群れが
見られるようになってきました。
 リュウキュウサンショウクイが、中旬や下旬に見られましたが、い
ずれもカラ類、メジロ、エナガなどからなる群れに混じっているのが
見られました。分布を広げている?リュウキュウサンショウクイの冬
における一つの”適応”かもしれません。
 シロハラが、中旬に谷筋で確認されました。
 クロジが、下旬に確認されました。谷筋の数箇所で確認されました
が、高尾山頂近辺で確認されたクロジは、遊歩道そばの斜面で落ち
葉などをひっくり返し盛んに餌を探していました。そばを時折通るハイ
カーなどに注意を払いながら必死に餌を探していました。用心深いク
ロジが逃げずに餌を探すのは珍しく余程腹が減っていたのかもしれ
ません。もしそうだとするとこのクロジは、より標高の高い山の方から
移動してきたばかりかもしれません。
 


 ・哺乳類(主なもの)

姿、フィールドサインなど テン(糞)、ムササビ(食い痕)など

 テンの糞が、上旬に中腹を通る遊歩道などで見られました。
欄干の上に太さ9mmほどの細長い黒っぽい糞が見られました。
糞の中には節足動物の足、キブシの種子、マタタビ科の種子、
ヒノキの葉などが含まれていました。
 ムササビの食い痕が、下旬などに麓のスギ林わき、谷筋を通
るスギ林内の遊歩道、高尾山頂近辺のスギ林わきの遊歩道な
どで見られました。いずれの箇所もスギの花芽(雄花になるもの
)を食べた痕のある大小の枝が散在していました。

 
 
・植物(主なもの)

        リュウノウギク(白色)、キッコウハグマ(白色)、サラシナショウマ(白色)、シロヨメナ(白色)、ゲンノショウコ(白色)、ハナタデ(紅色から淡紅色)、ヤクシソウ(黄色)、ツリフネソウ(紅紫色)、トネアザミ(紅紫色)など
樹木      〔小高木〕ヒイラギ(白色)など
  〔高木〕オオモクゲンジ(淡褐色)、カラスザンショウ(赤褐色)、イイギリ(赤色)、ウラジロノキ(赤色)など
〔小高木〕ゴンズイ(赤色(果皮)、黒色(種子))、カマツカ(赤色)、マユミ(淡紅色(果皮)、橙赤色(種子))など
〔低木〕 コバノガマズミ(赤色)、ガマズミ(赤色)、ミヤマシキミ(赤色)、ヤブコウジ(赤色)、ミヤマフユイチゴ(赤色)、ムラサキシキブ(紫色)、ヤブムラサキ(紫色)など
〔つる〕 ツルウメモドキ(黄色(果皮)、橙赤色(種子))、ツルマサキ(淡紅色(果皮)、種子(橙赤色))、テイカカズラ(赤褐色)など
紅葉   〔高木〕イヌブナ(黄色、赤褐色)、ヤマザクラ(赤色)、イロハモミジ(赤色)、オオモミジ(赤色)など
〔小高木〕シラキ(黄色、赤色)、ヤマボウシ(赤褐色)など

〔低木〕マルバウツギ(赤色)など

 12月は、例年と異なり上旬位までは比較的暖かかったせいかツリフネ
ソウ、キッコウハグマ、ヤクシソウ、リュウノウギクなどの草花やオオモミ
ジ、アカシデなどの紅葉などが見られました。しかし寒くなって行くに連れ
花は枯れ、紅葉した葉も落ち、色鮮やかな樹の実などが目立つようにな
ってきました。12月下旬時点で見られた色鮮やかな樹の実などについて
は下記の通りです。
 高木については、イイギリなどが房状の赤い実をつけているのが時折
見られました。
 小高木については、ゴンズイが赤い果皮が裂け、黒い光沢のある種子
の見えているものなどがまだ見られました。
 低木については、コバノガマズミ、ガマズミ、ミヤマシキミ、ヤブコウジな
どがまだ赤い実をつけているものなどが見られました。またムラサキシキ
ブ、ヤブムラサキなどは大分鳥などに食われ無くなってきましたが、まだ
紫色の実をつけているものが見られました。
 つる植物については、ツルウメモドキが黄色い果皮が裂け、橙赤色の仮
種皮をつけた種子の見られるものなどがまだ見られました。またテイカカ
ズラが鞘のように長い赤褐色の実をつけているものなどが時折見られ、
鞘が裂け飛散したと思われる種子が時折遊歩道などに落ちているのが見
られました。テイカカズラの種子はやや細長くその一端に白い冠毛が生え
ていますが、このテイカカズラの種子と似たような形態のつる性の常緑多
年草であるキジョランの種子なども、遊歩道などに時折落ちているのが見
られました。
 
 



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