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5.高尾山季節情報(6月30日更新)

 高尾山の6月は、上旬は曇りや晴れた日が多く、雨の日の
少ない一月でした。6月の総雨量は58mm(八王子市)で6月
としては雨の少ない月でした。気温は変動がありましたが、高
めに推移し上がって行きました。このような気象条件のもと植
物では初夏から夏に見られる草や樹の花などが見られました
。また鳥類ではさえずりがまだ聞かれました。哺乳類について
はフィールドサインや姿などが確認されました。両生類ではオ
タマジャクシなどが大分成長しました。昆虫類ではチョウ、甲
虫、アブ・ハエ、ハチなどが目立ちました。
 植物では、ミヤマナミキ、ユキノシタ、イヌトウバナ、キツネノ
ボタン、アカショウマ、オカトラノオ、オオバジャノヒゲ、ヤマホ
タルブクロ、ホタルブクロ、ヒメヤブラン、クマノミズキ、イヌツゲ、
ヤマアジサイ、ムラサキシキブなど草や樹の花などが見られま
した。
 鳥類では、オオルリ、クロツグミ、キビタキ、ヤブサメ、ウグイ
スなどがまださえずっていました。
 哺乳類では、ムササビの食い痕、テンの糞、アナグマの姿な
どが確認されました。
 両生類では、カジカガエルの声が聞かれ、ヤマアカガエルの
幼生(オタマジャクシ)などがかなり成長してきました。
 昆虫類では、モンキアゲハ、アサギマダラ、ジャコウアゲハ、
スミナガシ、スジグロシロチョウ、コジャノメ、、ダイミョウセセリ
、ミスジチョウ、コミスジ、ウラギンシジミ、エサキオサムシ、ク
シヒゲベニボタル、アオジョウカイ、キイロトラカミキリ、 シリブ
トミドリバエ、クロヒラタアブ、アシブトハナアブ、ナガヒタアブ、
オオカバフスジドロバチ、ニジイロコハナバチ、オオスズメバチ
、チャイロスズメバチ、ホシハラビロヘリカメムシ、オオシオカラ
トンボなどが確認されました。


 ・鳥類(主なもの)

留鳥 ヤマガラ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ、メジロ、コゲラ、イカル、アオゲラ、ウグイス、キセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、アオバト、ハシブトガラスなど
夏鳥   イワツバメ、ツバメ、ヤブサメ、クロツグミ、オオルリ、キビタキ、サンコウチョウ、ホトトギスなど
分布を広げいる鳥?  リュウキュウサンショウクイなど
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 ガビチョウ、ソウシチョウなど

 6月は、主に谷筋などではオオルリ、サンコウチョウなどが時折
さえずり、谷筋から中腹にかけてはクロツグミなどが時折さえずっ
ているのが確認されました。中腹から尾根にかけてはキビタキな
どが時折さえずっているのが確認されました。また谷筋から尾根
にかけてはヤブサメ、ウグイス、ソウシチョウなどが時折さえずっ
ているのが確認されました。
 ホトトギスが時折鳴いているのが聞かれましたが、数回鳴いて
はすぐに移動し、鳴き声が遠くから聞こえてくることが度々ありま
した。広範囲を飛び回っていることが想像されますが、ホトトギス
はウグイスの巣に托卵することが知られており、このための行動
かと思われました。
 この他ヒヨドリの巣立ち雛がせわしく鳴いているのが時折見られ
ました。


 ・哺乳類(主なもの)

姿、フィールドサインなど ムササビ(食い痕)、テン(糞)、アナグマ(姿)など

 ムササビの食い痕が、上旬に見られました。尾根を通る遊歩
道などにアカガシの出初めの葉の食われた小枝がいくつも落ち
ていました。
 テンの糞が中旬に見られました。高尾山頂近辺の遊歩道や広
場隅などの3箇所でテンの糞が見られました。1箇所目は高尾山
頂西側の遊歩道で見られ、ヤマグワのそう果や果柄からなる糞
でした。2、3箇所目は、高尾山頂の近辺の尾根にある遊歩道や
高尾山頂で見られましたが、いずれもサクラの核や果皮などでし
た。
 アナグマの姿が、下旬に見られました。日没頃中腹にある遊歩
道を歩いていると、斜面の下の方で獣の足音がわずかながら聞
かれました。その音は少しずつ大きくなり、遊歩道に近づいてくる
ではないかと思われ、その音の方へ遊歩道を少し移動しました。
するとなにやら小さな獣らしきものが3匹遊歩道に姿を現しました
。日没頃であったため初めははっきりは見えませんでしたが、1頭
が私の方に近づいてきましたので、姿形、体の大きさ、顔などをよ
く見るとアナグマであることが確認されました。
 

・両生爬虫類(主なもの)

両生類 カジカガエル(声)、ヤマアカガエル(幼生)、タゴガエル(幼生)など

 麓の川では、カジカガエルの声がまだ聞かれました。
 麓の池では、ヤマカガエルの幼生(オタマジャクシ)が大きく
なり、後足、前足の生えたカエルに近い個体が見られました。
 山中の沢では、タゴガエルの幼生(オタマジャクシ)が成長し
、後足、前足の生えた個体が見られましたが、下旬までには
上陸したらしく、下旬には姿が見られませんでした。


・昆虫類(主なもの)

飛んでいたもの モンキアゲハ(成虫)、アサギマダラ(成虫)など
枝や葉にいたもの   ジャコウアゲハ(成虫)、スジグロシロチョウ(成虫)、コジャノメ(成虫)、ミスジチョウ(成虫)、コミスジ(成虫)、ウラギンシジミ(成虫)、アカアシオオクシコメツキ(成虫)、クシヒゲベニボタル(成虫)、キイロトラカミキリ(成虫)、ホソヒラタアブ(成虫)、ムシヒキアブの一種(成虫)、アカアシメクラカメムシ(成虫)、ホシハラビロヘリカメムシ(成虫)など
花にいたもの  アオジョウカイ(成虫)、シリブトミドリバエ(ミドリバエ、成虫)、クロヒラタアブ(成虫)、アシブトハナアブ(成虫)、ナガヒラタアブ(成虫)、ニジイロコハナバチ(成虫)など
 幹にいたもの ヨツボシオオキスイ(成虫)、ヨツボシケシキスイ(成虫)、オオスズメバチ(成虫)、チャイロスズメバチ(成虫)など
地面やその近くにいたもの スミナガシ(成虫)、エサキオサムシ(成虫)、オオカバフスジドロバチ(成虫)など
水面近くにいたもの   カワトンボの一種(成虫)、オオシオカラトンボ(成虫)など

 6月は、草花などはやや少ない時期であり、訪花性の昆虫
にとっては厳しい季節かもしれませんが、シラキなど樹の花
にはアブ・ハエ、甲虫、ハチなど訪花性の昆虫や花に来た昆
虫などをねらう肉食性の昆虫などが見られました。またクヌギ
など樹液を出す樹には、ハチや甲虫などが来ていました。
 シラキの花には、クロヒラタアブ、ナガヒラタアブ、アシブトハ
ナアブなどのハナアブの仲間が来ており、シリブトミドリバエ(
ミドリバエ)などクロバエの仲間などが来ていました。またニジ
イロコハナバチなどハナバチの仲間などが来ていました。なお
シラキの花やその近辺にはクシヒゲベニボタル、アオジョウカ
イ、キイロトラカミキリなどの甲虫やムシヒキアブの一種などが
見られました。
 

・植物(主なもの)

      ミヤマナミキ(白色)、ユキノシタ(白色)、イヌトウバナ(白色)、ドクダミ(白色(総苞片))、アカショウマ(白色)、オカトラノオ(白色)、ギンリョウソウ(白色)、ウメガサソウ(白色)、ギンレイカ(白色)、ヤマムグラ(白色)、セッコク(白色、淡紅色)、ハエドクソウ(白色でしばしば淡紅色を帯びる)、オオバジャノヒゲ(淡紫色または白色)、キツネノボタン(黄色)、ミヤマキケマン(黄色)、クサノオウ(黄色)、ニガナ(黄色)、シャガ(淡白紫色)、サイハイラン(淡緑褐色、紅紫色を帯びる)、ヤマホタルブクロ(淡紅紫色)、ホタルブクロ(淡紅紫色)、クワガタソウ(淡紅紫色)、イナモリソウ(淡紅紫色)、ヒメヤブラン(淡紫色)など
樹木      〔高木〕フジキ(白色)など
〔小高木〕エゴノキ(白色)、イヌツゲ(淡黄白色)、クマノミズキ(黄白色)、シラキ(黄色)、ヤマボウシ(淡黄緑色)、ゴンズイ(黄緑色)など
〔低木〕ヤマアジサイ(白色~淡青色(装飾花(萼片)))、ガマズミ(白色)、ヤマテリハノイバラ(白色)、ウツギ(白色)、ムラサキシキブ(淡紅紫色)、ヤブムラサキ(紅紫色)など

〔つる〕テイカカズラ(白色)、マタタビ(白色)、スイカズラ(白色、黄色)など

  6月は、初夏から夏にかけ咲く草や樹の花などが時折見られましたが、
6月下旬時点で見られた草や樹の花は下記の通りです。
 谷筋で咲いている草花については、ユキノシタ、ミヤマナミキ、イヌトウバ
ナなどが白い花をつけていました。またキツネノボタンなどが黄色い花をつ
けていました。
 中腹から尾根にかけ咲いていた草花については、アカショウマ、オカトラノ
オなどが白い花をつけていました。またヤマホタルブクロ、ホタルブクロ、ヒ
メヤブランなどが紫色系の花をつけていました。
 花をつけた樹木については、小高木ではイヌツゲやクマノミズキなどに黄
白色系の花が見られました。低木ではヤマアジサイなどに白色の装飾花(
萼片)が見られ、ムラサキシキブなどに淡い紅紫色の花が見られました。
 蕾をつけた草については、イチヤクソウ、ヒヨドリバナ、アキカラマツ、ヤ
マユリ、ムラサキニガナなどに蕾が見られました。また蕾をつけた樹木に
ついては、リョウブ(小高木)、タマアジサイ(低木)、ヤブコウジ(低木)など
に蕾が見られました。


 
 

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