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5.高尾山季節情報(8月31日更新)

 高尾山の8月は、晴れた日が多かったですが、日中晴れ夕
方から夜にかけ降る夕立的な雨の日もあり、一月の雨量とし
て下旬前半までは例年に比べやや多い程度でした。このこと
に加え下旬後半の台風などで8月にしては著しく雨量の多い
一月となりました。気温は下旬後半を除き例年にない暑さが
続きました。このような気象条件のもと植物では夏から秋に
かけ咲く草花などが目立つようになってきました。また鳥類に
ついては幼鳥や若鳥などが見られました。哺乳類ではフィー
ルドサインなどが確認されました。両性爬虫類ではトカゲやヘ
ビなどが見られました。昆虫類ではチョウ、ハチ、甲虫などが
目立ちました。
 植物では、マツカゼソウ、ミヤマタニソバ、オオヤマハコベ、
ミズタマソウ、ハグロソウ、フジカンゾウ、シラヤマギク、ヒヨド
リバナ、アキカラマツ、ノハラアザミ、モミジガサ、カノツメソウ、
ユウガギク、ヤマホトトギス、ヤブラン、ボタンヅル、センニン
ソウ、ミヤマフユイチゴ、タマアジサイ、ヤマハギ、クサギなど
草や樹の花などが見られました。
 鳥類では、カワラヒワ、セグロセキレイ、イカルなど幼鳥や若鳥
などが見られました。
 哺乳類では、テンの糞などが確認され、ムササビの食い痕な
どが確認されました。
 両性爬虫類では、アオダイショウ、ヒガシニホントカゲなどが
見られました。
 昆虫類では、オナガアゲハ、モンキアゲハ、キタキチョウ、コ
チャバネセセリ、ダイミョウセセリ、アカボシゴマダ、ルリタテハ
、イチモンジチョウ、アカタテハ、クロヒカゲ、ヤマトシジミ、ヤマ
トツヤハナバチ、ヤノトガリハナバチ、ハナバチの一種、スズメ
バチの一種、オオカバフスジドロバチ、キオビツチバチ、スキバ
ツリアブ、マメコガネ、エサキオサムシ、アオカナブン、クロカナ
ブン、ホソヘリカメムシ、オオゴキブリ、ハグロトンボ、オオシオ
カラトンボなどが見られました。




 ・鳥類(主なもの)

留鳥 ヤマガラ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ、メジロ、イカル、コゲラ、キツツキの一種、ウグイス、セグロセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシブトガラス、アオバトなど
夏鳥    ヤブサメ、クロツグミ、サンコウチョウ、イワツバメ、アオバズクなど
分布を広げている鳥?   リュウキュウサンショウクイなど
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 ガビチョウ、ソウシチョウ、コジュケイなど

 8月は、さえずりは大分少なくなりましたが、ウグイス、ソウシチョ
ウ、サンコウチョウなどのさえずりが聞かれました。また高尾山頂
付近、麓の川などで幼鳥、若鳥などが見られました。
 高尾山頂付近には、見晴らしの良い大木がありますが、この時
期幼鳥や若鳥などが時折梢端付近で見られます。上旬にはメジロ
、エナガなどの集団の他にカワラヒワの幼鳥などが見られました。
また中旬にはイカルの若鳥が梢端付近に飛来しさえずっていまし
た。
 麓の川では、下旬にセグロセキレイの幼鳥が見られました。セグ
ロセキレイの親?は頭から背中が黒っぽいですが、幼鳥は頭から
背中が灰色をしており、目の上に眉のような淡い色の筋が見られま
した。幼鳥は流れ周辺を歩き回り餌を探していましたが、それを親?
がつかず離れず見守っていました。


 ・哺乳類(主なもの)

姿、フィールドサインなど テン(糞)、ムササビ(食い痕)など

 テンの糞が、上旬と下旬に見られました。
 上旬に見られた糞は、稜線近くの遊歩道で見られた糞であり、
甲虫類の翅や足の一部、コオロギ類の足の一部、ムカデ類の足
の一部などでした。
 下旬に見られた糞は、2箇所見られ、いずれも谷付近で見られ
たました。1箇所目の糞は遊歩道わきの擁壁上にあった果実の
まとまったようなものであり、すべてコバノガマズミ(低木)の実で
した。2箇所目の糞は遊歩道わきの擁壁上にあった細長い形で
あり、ムカデ類の腹や足の一部、小動物の骨片などでした。
 ムササビの食い痕が、下旬などに2箇所で確認されました。
 1箇所目は谷の遊歩道付近で見られたものであり、スギの花
芽の食べられた痕のある枝が付近にいくつか落ちていました。
 2箇所目は高尾山頂付近の遊歩道付近で見られたものであ
り、スギの葉先の食べられた痕のある枝が付近にいくつも落ち
ていました。


・両性爬虫類(主なもの)

爬虫類 アオダイショウ(成体)、ヒガシニホントカゲ(成体)など

 高尾山頂近くの遊歩道わきにあった石積みで、アオダイショウ
が見られました。石積みの間から出てこようとしていましたが、私
に気づき石積の間に戻りました。どうやら近くの石積みにいたヒ
ガシニホントカゲをねらっていたようです。



・昆虫類(主なもの)

地面付近にいたもの ルリタテハ(成虫)、アカタテハ(成虫)、コチャバネセセリ(成虫)、オオカバフスジドロバチ(成虫)、スキバツリアブ(成虫)、センチコガネ(成虫)、エサキオサムシ(成虫)、ホソヘリカメムシ(成虫)、オオゴキブリ(成虫)など
 飛んでいたもの  アオスジアゲハ(成虫)、ウラギンシジミ(成虫)、アカネトンボの一種(成虫)など
花にいたもの   オナガアゲハ(成虫)、モンキアゲハ(成虫)、キタキチョウ(成虫)、ヤマトシジミ(成虫)、スズメガの一種(成虫)、ヤマトツヤハナバチ(成虫)、ヤノトガリハナバチ(成虫)、ハナバチの一種(成虫)、マメコガネ(成虫)など
樹液を吸っていたもの   スズメバチの一種(成虫)、アオカナブン(成虫)、クロカナブン(成虫)など
 枝葉にいたもの イチモンジチョウ(成虫)、アカボシゴマダラ(成虫)、クロヒカゲ(成虫)、ダイミョウセセリ(成虫)、イチモンジセセリ(成虫)、キオビツチバチ(成虫)など
 水辺近くにいたもの  ハグロトンボ(成虫)、オオシオカラトンボ(成虫)など
 汗に来たもの  ニホンミツバチ(成虫)など

 8月は雨が多かったですが暑い一月であり、昆虫といえども大変
だったのではないかと思われました。水分や糖分などを求め濡れ
た地面に来たり、花に来ているものが見られましたが、草木の生長
が良いせいか草花は少なく、コナラやクヌギなどブナ科樹木はカシ
ノナガキクイムシの被害で老木は衰退が進んでいます。訪花性の
ハチ、アブ、チョウ、甲虫など、樹液を吸うチョウ、甲虫、ハチなどが
昨年より少ないかもしれません。花や樹液に来たり、特記すべき出
来事は下記の通りです。
 クサギの花には、オナガアゲハ、モンキアゲハ、スズメガの一種な
どが蜜をもとめて来ていました。
 ヤマハギの花には、ヤマトシジミ、ヤマトツヤハナバチ、ヤノトガリ
ハナバチ、ハナバチの一種、マメコガネなどが来ていました。
 クヌギの樹液には、スズメバチの一種、アオカナブン、クロカナブン
などが来ていました。
 高尾山頂近くでは、オオカバフスジドロバチが地面を掘り、芋虫?
を抱え飛び去るのが見られました。
 麓の川では、ハグロトンボが水中にある水草に産卵しているのが
見られました。
 

・植物(主なもの)

        マツカゼソウ(白色)、ミヤマタニソバ(白色)、オオヤマハコベ(白色)、ミズタマソウ(白色)、ヤブミョウガ(白色)、ユキノシタ(白色)、ウバユリ(白色)、カノツメソウ(白色)、シラヤマギク(白色)、ヒヨドリバナ(白色)、ナガバノコウヤボウキ(白色)、モミジガサ(白色)、ユウガギク(白色)、ボタンヅル(白色)、センニンソウ(白色)、ヤマノイモ(白色)、ゲンノショウコ(白色)、イヌトウバナ(白色)、ヤマホトトギス(白色、赤紫色の斑点)、オオバギボウシ(白色または淡紫色)、アキカラマツ(淡黄白色)、ミゾホオズキ(淡黄色)、ヤマキツネノボタン(黄色)、ダイコンソウ(黄色)、キンミズヒキ(黄色)、ヒメキンミズヒキ(黄色)、ガンクビソウ(黄色)、シュウブンソウ(淡黄緑色)、コヤブタバコ(緑白色)、オニドコロ(淡緑色)、フジカンゾウ(淡紅色)、ツルニガクサ(淡紅色)、ヌスビトハギ(淡紅色)、ママコノシリヌグイ(赤色(上部)、白色(下部))、ミズヒキ(赤(表側)、白(裏側))、イヌタデ(紅色)、ツユクサ(青色)、ヤマホタルブクロ(淡紅紫色)、クズ(紅紫色)、ヘクソカズラ(紅紫色(花弁の内側)、白色(花弁の外側)))、ハグロソウ(紅紫色)、ノハラアザミ(紅紫色)、アキノタムラソウ(青紫色)、ヤブラン(淡紫色)など
樹木    〔高木〕ネムノキ(淡紅色)など
〔小高木〕リョウブ(白色)、クサギ(白色、紅紫色)など
〔低木〕タマアジサイ(白色〜帯紫色(装飾花)、紫色(両性花))、ヤマハギ(紅紫色)など

〔つる〕ミヤマフユイチゴ(白色)、アオツヅラフジ(黄白色)など
9月に開花の期待される草花   ウスゲタマブキ、カシワバハグマ、アズマヤマザミ、オトコエシなど

 8月は、夏から秋にかけ咲く草花などが目立ってきましたが、ミヤマフユ
イチゴなど秋に咲く花なども見られました。8月下旬時点で確認された花
は下記の通りです。
 谷で見られた花は、草花ではマツカゼソウ、ミヤマタニソバ、オオヤマハ
コベ、ミズタマソウなどが白い花を咲かせ、フジカンゾウなどが淡い紅色の
花を咲かせているのが見られました。また樹の花ではミヤマフユイチゴ(つ
る)などが白い花を咲かせ、タマアジサイ(低木)が白(装飾花)、紫(両性花
)の花を咲かせているのが見られました。
 中腹から尾根にかけては、草花ではシラヤマギク、ヒヨドリバナなどが白
い花を咲かせ、アキカラマツなどが淡い黄白色の花を咲かせ、ノハラアザ
ミなどが赤紫の花を咲かせているのが見られました。また樹木の花ではヤ
マハギ(低木)などが紅紫色の花を咲かせ、クサギ(小高木)が白い花(花
筒・がくは紅紫色)を咲かせているのが見られました。
 この他の草花については、モミジガサ、カノツメソウ、ユウガギクなどが白
い花を咲かせ、ヤマホトトギスが白い花に赤紫色の斑点のある花を咲かせ
ているのが見られました。またヤブランなどが淡い紫色の花を咲かせてい
るのが見られました。
 なお9月に期待される草花については、ウスゲタマブキ、カシワバハグマ、
アズマヤマアザミ、オトコエシなどがあげられます。


 

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