3.具体的活動


(1)高尾山

 ・動植物調査

 高尾山は、大都市近郊でありながらカラ類、キツツキ類など森林性鳥類やリス、テンなど哺乳類などが比較的多く生息しています。また、タゴガエルなど山地性の両生類などが見られます。森林性のチョウや流水性のトンボなど昆虫類などがみられます。これらは高尾山という低山にある森林や渓流を棲みかにしているわけですが、直接あるいは間接に多くの植物に支えられています。この森の植物はそこに生息する動物を支え、また、動物は植物の実を食べることにより、植物の種を運びその分布を広げる役割をになっています。植物と動物は互いに影響しあい共生関係にあることが予測されます。この共生関係を少しでも明らかにするため、カラ類など野鳥の生態を調べたり、テンやリスなど哺乳類の食性を調べています。また、チョウやトンボの生態などについても調べています。

 ・ネイチャーガイド   

 東京都心の西方にある高尾山は、頂上(標高約600m)に至る尾根や沢がいくつもあり、薬王院、霞台園地、ケーブルカーなど建物、施設を除き、麓(標高約200m)から頂上まで全山森です。天然性のモミを交えたカシ林が尾根を中心に広がっており、高尾山頂から東北東に伸びる稜線付近にはイヌブナ、ブナを交えた落葉樹林が帯状に見られます。また、沢にはケヤキ、イロハモミジなどからなる河畔林も見られます。このように植物的に豊かな場所である高尾山には、動物も豊かです。ヤマガラ、ヒガラ、エナガ、アオゲラなどの留鳥をはじめオオルリ、キビタキ、ヤブサメなど夏鳥やルリビタキ、ミソサザイ、クロジなどの冬鳥など野鳥がほぼ1年を通して見られ、ヒミズ、リス、ムササビ、テン、イノシシなど哺乳類の姿やその痕跡が見られます。また、水際や森にはヤマアカガエル、タゴガエル、カジカガエルなどの両生類が生息しています。ウスバシロチョウ、アゲハ類、アサギマダラ、スミナガシ、テングチョウ、オオムラサキ、ムラサキシジミなどのチョウ類、カワトンボ、ミヤマカワトンボ、オニヤンマなどのトンボ類、ハルゼミ、エゾゼミなどのセミ類などの昆虫が生息しています。高尾山にはこのように森林性の多種多様な生き物が生育生息しており、これらを知ることは私たちの自然に対する認識を豊かにします。そこでこれら様々な生き物の姿や痕跡を紹介するため4月よりネイチャーガイドを始めることにしました。

森の生態研究所