森の生態研究所のURLは、2021年1月21日より下記のように変わりました。
https://morinoseitai.com
(10月31日更新)
高尾山の10月は、中旬に晴れた日が連続した時がありまし
たが、全般的に曇りの日が晴れた日に比べやや多かったです
。一月の雨量としては例年とほぼ同じ程度の140mmほどで
した。気温は全般的に高めで、変動はありましたが徐々に下
がってきました。このような気象条件のもと植物では秋に咲く
草花などが目立ってました。また鳥類については採餌行動や
若鳥などが確認されました。哺乳類ではフィールドサインや姿
などが確認されました。昆虫類ではアブ・ハエ、ハチなどが目
立ちました。
植物では、シラネセンキュウ、サラシナショウマ、ミゾソバ、
ウスゲタマブキ、ツリフネソウ、セキヤノアキチョウジ、コウヤボ
ウキ、アキノキリンソウ、ヤクシソウ、トネアザミ、ノハラアザミ、
ゲンノショウコ、シロヨメナ、ヤマハッカなどの草花などが見られ
ました。またオオモクゲンジ、クサギ、ゴンズイ、コバノガマズミ
、ガマズミ、ミヤマシキミ、ムラサキシキブなど色鮮やかな実を
つけた樹木などが見られました。
鳥類ではヤマガラ、キセキレイなどの採餌工行動が見られ、
夏鳥のキビタキなどが確認されました。
哺乳類では、ムササビなどの食い痕やイノシシの堀跡などが
確認され、リスの姿などが見られました。
昆虫類では、キゴシハナアブ、マルボシヒラタヤドリバエ、クロ
ヒラタアブ、オオハナアブ、セスジハリバエ、ホソヒラタアブ、コガ
タノヒラタアブ、トラマルハナバチ、ハラナガツチバチの一種、ヤ
マトツヤハナバチ、アサギマダラ、ウラナミシジミ、ホウジャクの
一種などが確認されました。
・鳥類(主なもの)
留鳥 | ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、イカル、コゲラ、キツツキの一種、ウグイス、カケス、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシボソガラス、トビ、アオサギなど |
夏鳥 | キビタキなど |
漂鳥? | モズなど |
分布を広げている鳥? | リュウキュウサンショウクイ、イソヒヨドリなど |
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 | ガビチョウ、ソウシチョウなど |
10月は、9月に続き分布を広げている?イソヒヨドリが、高山口
駅舎付近で上旬、中旬などに見られました。9月に見られたイソヒ
ヨドリと同じものかどうか分かりませんが。
ヤマガラが、カヤの実を持ち去るのが上旬に見られました。今年
はカヤの実のなり年であり、カヤの実がまとまって見られるところ
ではヤマガラが見られましたが、カヤの実を嘴にすぐにくわえ飛去
するものなどが見られました。
モズが、高尾山口駅南側にあるスギの高木の梢端付近で鳴いて
いるのが中旬、下旬に見られました。モズがこの時期に現れると秋
を感じさせます。
キセキレイの若鳥が、麓の川で見られました。流れの岸近くで餌
探しをしていましたが、すぐに岸近くで何かの節足動物を嘴にくわ
え飲み込んでしまいました。
キビタキが、下旬に確認されました。高尾山頂近辺の林で、夕方
鳴いているのが確認されました。この時期でもまだいるんですね!
・哺乳類(主なもの)
姿、フィールドサインなど | ムササビ(食い痕)、イノシシ(堀跡)、リス(姿)など |
ムササビの食い痕が、中腹、谷筋などで上旬〜下旬に見られま
した。すべてスギの冬芽(雄花)の食われた痕のある枝が、遊歩道
などに落ちていました。
イノシシの堀跡が、谷筋の遊歩道付近などで下旬に見られました
。遊歩道の山側にある獣道が遊歩道と交わる斜面部分にシャガ(
常緑の草)の植物体が掘り返されていました。
リスの姿が、高尾山頂近くの遊歩道付近で下旬に見られました。
立ち枯れ木に群生していたキノコに近づくと、一旦付近を歩き回り、
気にいったキノコ?の前に来ると、止まって傘の部分を食べ始めま
した。このキノコの一部を食べ終わると、移動し、次に食べるキノコ
を探し、気に入ったキノコ?の前でとまりました。そして食べ始めま
した。今度もキノコの一部を食べ終わると移動して行きました。この
ような行動を何度も繰り返した後その場を去って行きました。これら
のことからリスは天敵などの警戒のため、1回の食べる時間をでき
る限り短くしているのかもしれません。あるいは警戒しつつもキノコ
の傷んでいない新鮮なところを選んで食べていたため、”まるかじり
”はしなかったのかも。あるいはキノコ自体が繊維でできており、消
化しにくいため1回に食べられる量が限られているためかもしれま
せん。
・昆虫類(主なもの)
水辺付近にいたもの | マユタテアカネ(成虫)などo |
花にいたもの | マルボシヒラタヤドリバエ(成虫)、クロヒラタアブ(成虫)、オオハナアブ(成虫)、セスジハリバエ(成虫)、ホソヒラタアブ(成虫)、ハナアブの一種?(成虫)、コガタノヒラタアブ(成虫)、トラマルハナバチ(成虫)、ハラナガツチバチの一種(成虫)、ヤマトツヤハナバチ(成虫)、ウラナミシジミ(成虫)、ホウジャクの一種(成虫)など |
枝葉にいたもの | キゴシハナアブ(成虫)、アサギマダラ(成虫)など |
鳴いていたもの | ツクツクボウシ(成虫)、アオマツムシ(成虫)など |
10月は、気温が例年に比べ高めに推移し、雨が適度に降ったた
め、夏から秋に咲く花などの花期が伸びるとともに秋に咲く花がそ
ろってきたせいか、訪花性のアブやハチなどがやや多く見られまし
た。
マルボシヒラタヤドリバエが、ユウガギクの花などで見られました。
クロヒラタアブが、ユウガギクの花などで見られました。
オオハナアブが、ヤマハッカの花などで見られました。
セスジハリバエが、ノダケの花などで見られました。
ホソヒラタアブが、タマアジサイの花などで見られました。
ハナアブの一種?が、タマアジサイの花などで見られました。
コガタノヒラタアブが、ノハラアザミの花などで見られました。
トラマルハナバチが、コウヤボウキの花などで見られました。
ハラナガツチバチの一種が、カシワバハグマ、コウヤボウキの花
などで見られました。
ヤマトツヤハナバチが、ユウガギク、ノハラアザミの花などで見ら
れました。
ウラナミシジミが、アキノタムラソウの花などで見られました。
ホウジャクの一種が、トネアザミの花などで見られました。
・植物(主なもの)
草 | 花 | シラネセンキュウ(白色)、サラシナショウマ(白色)、イヌショウマ(白色)、オオヤマハコベ(白色)、ミヤマタニソバ(白色)、マツカゼソウ(白色)、コウヤボウキ(白色)、シモバシラ(白色)、シラヤマギク(白色)、カシワバハグマ(白色)、、オクモミジハグマ(白色)、ナガバノコウヤボウキ(白色)、シロヨメナ(白色)、ユウガギク(白色)、ゲンノショウコ(白色)、ミゾソバ(紅紫色、白色)、ヤマホトトギス(白色、赤紫色の斑点)、ウスゲタマブキ(淡黄色)、アキノキリンソウ(黄色)、ヤクシソウ(黄色)、ノササゲ(黄色)、シュウブンソウ(淡黄緑色)、ツルニンジン(白緑色、紫褐色)、ミズヒキ(赤(表側)、白(裏側))、ヤブマメ(紫色、白色)、ツリフネソウ(紅紫色)、トネアザミ(紅紫色)、ノハラアザミ(紅紫色)、アズマヤマアザミ(紅紫色)、ノコンギク(淡青紫色)、セキヤノアキチョウジ(青紫色)、ヤマハッカ(青紫色)、アキノタムラソウ(青紫色)、ツルリンドウ(淡紫色)、ノダケ(暗紫色)など |
樹木 | 花 | 〔低木〕 タマアジサイ(白色〜帯紫色(装飾花)、紫色(両性花))、ナワシログミ(淡黄褐色)、ヤマハギ(紅紫色)など |
実 | 〔高木〕オオモクゲンジ(淡紅色)など 〔小高木〕クサギ(赤色(がく)、藍色(果皮))、ゴンズイ(赤色(果皮)、黒色(種子))、イヌザンショウ(赤褐色(種子は黒色))、イヌガヤ(紅紫色)など 〔低木〕 コバノガマズミ(赤色)、ガマズミ(赤色)、ミヤマシキミ(赤色)、ムラサキシキブ(淡紫色)など |
10月は、9月に続いて高温傾向であり、適度に雨が降ったせいか、夏
から秋にかけて咲く草花が見られ、秋に咲く草花などがそろってきました
。10月下旬時点で見られた草花や色鮮やかな実をつけた樹木などにつ
いては下記の通りです。
谷で見られた草花では、シラネセンキュウ、サラシナショウマなどが白
色の花を咲かせ、ミゾソバが花の先がわずかに赤みがかった白い花を
咲かせていました。またウスゲタマブキなどが淡い黄色の花を咲かせ、
セキヤノアキチョウジなどが青紫の花を咲かせていました。
中腹から尾根にかけて見られた草花では、コウヤボウキなどが白色
の花を咲かせ、アキノキリンソウ、ヤクシソウなどが黄色の花を咲かせ
ていました。またノハラアザミ、トネアザミなどが赤紫の花を咲かせてい
ました。
上記以外の草花では、ユウガギク、ゲンノショウコなどが白い花を咲か
せ、ノコンギクなどが淡い青紫色の花を咲かせ、ヤマハッカなどが青紫
色の花を咲かせていました。
色鮮やかな実をつけた樹木については、高木ではオオモクゲンジなど
が淡紅色の袋状の実をつけ、小高木ではクサギが赤色のがくに藍色の
実をつけ、ゴンズイが赤色の果皮に黒色の種子をつけているのが見ら
れました。また低木ではコバノガマズミ、ガマズミ、ミヤマシキミなどが赤
色の実をつけ、ムラサキシキブなどが淡い紫色の実をつけているのが
見られました。