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5.高尾山季節情報(5月31日更新)

 高尾山の5月は、上旬は晴れた日がやや多かったですが、
以後は曇りや雨の日が多く、5月の総雨量は198mm(八王
子市)で5月としてはやや多めでした。気温は変動がありまし
たが、徐々に上がってきました。このような気象条件のもと植
物では晩春から初夏に見られる草や樹の花などが見られまし
た。また鳥類では幼鳥などが見られ、新たに夏鳥が確認され
ました。哺乳類についてはフィールドサインや姿などが確認さ
れました。両生類ではオタマジャクシなどが成長し、爬虫類で
はトカゲやヘビの幼体などが見られました。
 植物では、ユキノシタ、セッコク、フタリシズカ、ミヤマナルコ
ユリ、ニガナ、イナモリソウ、サイハイラン、オカタツナミソウ、
ガマズミ、マルバウツギ、ガクウツギ、コゴメウツギ、スイカズ
ラなど草や樹の花などが見られました。
 鳥類では、エナガなどの幼鳥などが見られ、またエゾムシク
イ、アオバズク、サンコウチョウ、ホトトギスなど夏鳥が確認さ
れました。
 哺乳類では、ムササビの食い痕、リスの姿などが確認され
ました。
 両生類では、カジカガエルの姿が見られ、ヤマアカガエルや
タゴガエルの幼生(オタマジャクシ)などが成長してきました。
また爬虫類ではヒガシニホントカゲの幼体やヘビの一種の幼
体などが見られました。


 ・鳥類(主なもの)

留鳥 ヤマガラ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ、メジロ、コゲラ、イカル、アオゲラ、ウグイス、カケス、キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、アオバト、ハシブトガラス、カルガモなど
夏鳥   イワツバメ、ヤブサメ、クロツグミ、オオルリ、キビタキ、エゾムシクイ、アオバズク、サンコウチョウ、ホトトギスなど
分布を広げいる鳥?  リュウキュウサンショウクイなど
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 ガビチョウ、ソウシチョウなど

 4月~5月にかけては、留鳥などの繫殖期になっていると思われ
ますが、4月下旬には、キセキレイが麓で巣作りを始めていました
が、5月上旬には雛に与える餌を盛んに集めているのが観察され
ました。また5月中旬から下旬にかけては、エナガの幼鳥などから
なる集団が高尾山頂付近などで見られました。
 5月は夏鳥の飛来がほぼ終了し、通過鳥なども確認される月で
すが、上旬にはエゾムシクイやアオバズクなどが確認されました。
 エゾムシクイのさえずりが、稜線付近で上旬に聞かれました。高
尾山ではこの時期エゾムシクイなどより標高の高い所で繫殖する
夏鳥の通過地点になっていますが、その一例と思われました。
 アオバズクの鳴き声が麓のケーブルカー清滝駅付近で上旬に聞
かれました。夜の初め頃、麓の池の近くにアオバズクが飛来し大き
な声で鳴き出しましたが、長居はせず飛去しました。
n

 ・哺乳類(主なもの)

姿、フィールドサインなど ムササビ(食い痕),、リス(姿)など

 ムササビの食い痕が、上旬に見られました。尾根を通る遊歩
道にアラカシの若い葉の食べた痕のある小枝がいくつか落ちて
いました。
 リスの姿が、下旬に見られました。高尾山頂近くの遊歩道を歩
いていると、立ち枯れ木の上方から”ガリガリガリ”、”ガリガリガ
リ”と何かをかじっているような音が聞こえてきました。曇りで逆
光で見えずらかったのですが注視すると幹のやや高い所で、動
物の背中のようなものが見られました。写真に撮ってみるとリス
の姿が写っていました。写真にはリスがキノコ(腐朽菌)の生え
ているわきでキノコのようなものを左手で持ちくわえている姿が
写っていました。何かをかじっているような音はリスがキノコをか
じっていた音かもしれません。なお写真にはへりのかじられたよ
うな跡のあるキノコがいくつか写っていました。
 

・両生爬虫類(主なもの)

両生類 カジカガエル(声、姿))、ヤマアカガエル(幼生)、タゴガエル(幼生)など
爬虫類  ヒガシニホントカゲ(幼体)、ヘビの一種(幼体)など

 麓の川(案内川)では、カジカガエルの鳴き声が聞かれ、姿
が見られました。
 麓の池ではヤマアカガエルの幼生(オタマジャクシ)が見られ
ましたが、酸素が足りないのか口をパクパクさせている個体が
何匹も見られました。
 山中の沢では、タゴガエルの幼生がオタマジャクシにまで成
長していました。
 中旬には、前の沢の遊歩道でヒガシニホントカゲの幼体が
見られ、高尾山頂近辺ではヘビの一種の幼体が見られまし
た。ヘビの一種の幼体は、体調が30~40cm位で、私に気
づいて慌てて林の中に逃げ込みましたが、体をS字状に曲げ
ながらすばやく移動して行きました。


・植物(主なもの)

      ユキノシタ(白色)、ナルコユリ(白色)、ツルカノコソウ(白色)、コミヤマスミレ(白色)、フタリシズカ(白色)、ミヤマナルコユリ(白色)、ギンラン(白色)、ギンリョウソウ(白色)、チゴユリ(白色)、セッコク(白色、淡紅色)、ミヤマキケマン(黄色)、ヤブヘビイチゴ(黄色)、ニガナ(黄色)、キンラン(黄色)、イワニガナ(黄色)、ミツバツチグリ(黄色)、オニタビラコ(黄色)、ホウチャクソウ(淡緑白色)、シャガ(淡白紫色)、サイハイラン(淡緑褐色、紅紫色を帯びる)、クワガタソウ(淡紅紫色)、イナモリソウ(淡紅紫色)、ムラサキケマン(紅紫色)、ハンショウヅル(暗紅紫色)、オカタツナミソウ(淡紫色)、コバノタツナミ(淡紫色)、ジュウニヒトエ(淡紫色)、タチツボスミレ(淡紫色)など
樹木      〔高木〕ミズキ(白色)、ホオノキ(白色)、ニセアカシア(白色)、ウラジロノキ(白色)など
〔小高木〕ヤブデマリ(白色)、カマツカ(白色)など
〔低木〕ガマズミ(白色)、マルバウツギ(白色)、ガクウツギ(白色)、コゴメウツギ(白色)、ヤマテリハノイバラ(白色)、コバノガマズミ(白色)、ミツバウツギ(白色)、ツクバネウツギ(白色)、ツリバナ(緑白色または淡紫色)、ヤマツツジ(朱色)など

〔つる〕テイカカズラ(白色)、サルナシ(白色)、ムベ(白色)、スイカズラ(白色、黄色)、ジャケツイバラ(黄色)、フジ(紫色)など

 5月は、ジュウニヒトエ、チゴユリ、キンラン、ギンランなど落葉樹の多いや
や明るい樹林に生える草花などが例年に比べやや多く見られました。この
ような傾向はしばらく続くかもしれませんが、5月下旬時点で見られた草や
樹の花は下記の通りです。
 谷筋で咲いていた草花については、ユキノシタなどが白い花をつけ始め、
ミヤマキケマンなどがまだ黄色い花をつけていました。またセッコクがスギ
の枝上などで白や淡い赤色の花をつけていました。
 中腹から尾根にかけ咲いていた草花については、フタリシズカ、ミヤマナ
ルコユリなどが白い花をつけ、ニガナなどが黄色い花をつけていました。
 谷筋や中腹、尾根などに見られた草花については、イナモリソウが淡い
赤紫色の花をつけ、サイハイランが淡い赤っぽい花をつけ、オカタツナミソ
ウが淡い紫色の花をつけていました。
 花をつけた樹木については、低木ではガマズミ、マルバウツギ、ガクウツ
ギ、コゴメウツギなどが白い花をつけていました。木性のつるではテイカカ
ズラが白い花をつけ、スイカズラが白や黄色の花をつけ、ジャケツイバラが
黄色の花をつけていました。
 なお蕾をつけた樹木については、ヤマボウシ(小高木)、シラキ(小高木)、
ウツギ(低木)、ヤマアジサイ(低木)、ヤブムラサキ(低木)などです。


 
 

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