森の生態研究所のURLは、2021年1月21日より下記のように変わりました。
https://morinoseitai.com
(3月31日更新)
高尾山の3月は、上旬から中旬にかけ曇りがやや多く、雨が
ややまとまって降りましたが、中旬から下旬にかけては晴れた
日が多かったです。3月ひと月の雨量はほぼ例年並みであり、
129mm(八王子市)ほどでした。気温は変動がありましたが、
徐々に上がり、下旬には高い日の続いた時がありました。この
ような気象条件のもと植物では春早くに咲く植物などが見られ
ました。また鳥類についてはさえずりなどが聞かれ、哺乳類に
ついてはフィールドサインなどが確認されました。両生類では、
オタマジャクシ、カエルの卵塊、ヘビなどが見られました。
植物では、ユリワサビ、ニリンソウ、カントウミヤマカタバミ、
ヨゴレネコノメ、ヒナスミレ、エイザンスミレ、ヤマルリソウ、ナガ
バノスミレサイシン、タチツボスミレ、モミジイチゴ、キブシ、ウ
グイスカグラ、エドヒガン、ヤブツバキなど草や樹の花などが見
られました。
鳥類では、ヤマガラ、ミソサザイ、ヒガラ、ウグイス、シジュウカ
ラなどのさえずりなどが時折聞かれました。
哺乳類では、ムササビの食い痕、テンの糞、ヒミズのトンネルな
どが確認されました。
両生類では、ヤマアカガエルのオタマジャクシ、アオダイショウ
の幼体、タゴガエルの卵塊などが見られました。
・鳥類(主なもの)
留鳥 | ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラ、アオゲラ、ウグイス、カケス、ハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシブトガラス、ノスリ、コサギなど |
冬鳥 | ミソサザイなど |
分布を広げいる鳥? | リュウキュウサンショウクイなど |
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 | ガビチョウ、ソウシチョウなど |
2月がやや寒かったせいか、小鳥たちにとって3月はやっと春の
気配を感じたひと月だったかもしれません。ヤマガラ、ミソサザイ、
ヒガラ、ウグイス、シジュウカラ、ソウシチョウなどが、麓、谷筋、中
腹、稜線、高尾山頂付近などで時折さえずっているのが確認され
ました。
ヤマガラが、麓の林縁付近の高木の上部でさえずっているのが
上旬に確認されました。人との距離が離れていたせいかあるいは
春の陽気のせいか、ヤマガラがのんびりさえずっているように思
われました。
ヒガラが、中腹にあるスギの梢端付近でさえずっているのが聞か
れましたが、さえずる合間に梢端付近にあるスギの球果をつつい
ているのが上旬に確認されました。また下旬には高尾山頂近辺の
尾根付近でヒガラがさずっては移動し、またさずっては移動してい
るのを繰り返しているのが確認されました。縄張りづくりや伴侶探
しなどをしていたかもしれません。
ミソサザイが、谷筋でさえずっているのが上旬、中旬などに聞かれ
ました。
なおノスリ1羽が、稜線上にあるケーブル高尾山駅付近を旋回飛翔
しながら上昇し、その後西方向へ移動して行くのが上旬に見られまし
た。
メジロが、高尾山頂付近にあるアセビの花で盛んに吸蜜しているの
が中旬に見られました。
n
・哺乳類(主なもの)
姿、フィールドサインなど | ムササビ(食い痕)、テン(糞)、ヒミズ(トンネル)など |
ムササビの食い痕が、上旬〜下旬にかけ見られました。スギ
の雄花、アカガシの出初めの葉、ヒノキの雄花の花芽などの食
べられた痕のある大小の枝、ヤブツバキの葯(花の雄しべの先
端)の食べられた花などが、谷筋、尾根、稜線、高尾山頂近辺
などの遊歩道やこれに隣接する斜面などに落ちていました。
テンの糞が、上旬などに見られました。テンの糞は尾根の遊
歩道で見られましたが、その内容物はキブシの種子、ムカデの
胴、足の一部、甲虫の胸・前翅の一部?、小鳥のあご骨などで
した。
ヒミズのトンネルが、高尾山頂近辺で見られました。遊歩道わ
きの谷側斜面側に遊歩道に沿うように長いトンネル(連続した
土の盛り上がり)が伸びていました。
・両生類(主なもの)
両生類など | ヤマアカガエル(幼体)、アオダイショウ(幼体)、タゴガエル(卵塊)など |
ヤマアカガエルの幼体(オタマジャクシ)が麓の池で下旬に
見られました。オタマジャクシの体長は1〜3cm程度で、水中
の日当たりのよい場所でじっとしているのが見られました。
アオダイショウの幼体が、遊歩道わきの樹の根っこ付近で見
られました。幼体の体長は30〜40cm位であり、ゆっくり動い
ていました。下旬のかなり温かい日に見られましたが、この時
期見られるのは珍しいです。
タゴガエルの卵塊が、下旬に見られました。谷筋にある岩の
隙間に卵塊が見られました。白と黒のやや大きめの卵が半球
状にわずかに積み上がっていました。
・植物(主なもの)
草 | 花 | ユリワサビ(白色)、ニリンソウ(白色)、カントウミヤマカタバミ(白色)、キクザキイチゲ(白色)、ハナネコノメ(白色)、シュンラン(緑色〜黄緑色、白色)、ヤマネコノメソウ(緑色で基部は黄色みを帯びる(萼裂片))、ヤマルリソウ(淡青紫色)、ヒナスミレ(淡紅紫色)、エイザンスミレ(淡紅紫色)、ナガバノスミレサイシン(淡紫色)、タチツボスミレ(淡紫色)、オカスミレ(紅紫色)、ヨゴレネコノメ(暗渇紫色〜淡緑色)など |
樹木 | 花 | 〔高木〕エドヒガン(淡紅色まれに白色)、フサザクラ(暗紅色(葯))など 〔小高木〕キブシ(黄色)、ヤブツバキ(赤色)など 〔低木〕モミジイチゴ(白色)、アセビ(白色)、アブラチャン(黄色)、ダンコウバイ(黄色)、オニシバリ(黄緑色)、ウグイスカグラ(淡紅色)など |
3月は、昨年より草や樹の開花はやや遅れましたが、上旬にはシュンラ
ン(草)、ダンコウバイ(低木)などが咲き始め、中旬にはハナネコノメ(草)
、ユリワサビ(草)、ヨゴレネコノメ(草)、ヤマルリソウ(草)、ヒナスミレ(草)
、エイザンスミレ(草)、ナガバノスミレサイシン(草)、フサザクラ(高木)な
どが咲き始め、草の花の種類が増えてきました。下旬にはカントウミヤマ
カタバミ(草)、オカスミレ(草)、モミジイチゴ(低木)、アブラチャン(低木)、
キブシ(小高木)、エドヒガン(高木)など樹の花の種類がやや増えてきまし
た。
3月下旬時点で咲いていた草や樹の花については下記の通りです。
谷筋に咲いていた草の花では、ユリワサビ、ニリンソウ、カントウミヤマ
カタバミなどが白色の花をつけていました。またヤマルリソウなどが淡い
青紫色の花をつけ、ナガバノスミレサイシンなどが淡い紫色の花をつけ
ていました。
中腹から尾根にかけて咲いていた草の花では、ヒナスミレ、エイザンス
ミレなどが淡い紅紫色の花をつけ、オカスミレなどが紅紫色の花をつけ
ていました。
樹の花では、モミジイチゴ(低木)などが白色の花をつけ、アブラチャン
(低木)、キブシ(小高木)などが黄色の花をつけていました。またウグイ
スカグラ(低木)、エドヒガン(高木)などが淡い紅色の花をつけていました。